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2018年12月13日木曜日

日本の『被相続人』になる時に

海外在住者(市民権取得・永住権保持)の場合


今までは、親の財産を私たち子供が贈与・相続する場合を書いてきました。その場合は、親は日本に住所がある場合がほとんどだったと思います。

贈与者・被相続人が『日本に住所あり』になり、私たち子供が日本国内・国外どこに住んでいようが関係なく、国籍も関係ありません。贈与者・被相続人の日本国内・国外のすべての財産が贈与税・相続税の課税対象になり、私たちはその納税義務者になります。

では今回は、贈与者・被相続人に自分がなる場合について。

このブログを見てくれている人の多くは、アメリカ永住権保持者又はアメリカ市民権取得者でアメリカ在住、国際結婚して子供がいる人は 子供がアメリカ国籍を選択しアメリカに住んでいる等ですよね?

親から相続した財産が日本にある・アメリカでも財産を築いた、そんな人は日米に財産があるということになりますよね?

まず、日本在住の受贈者・相続人は、贈与者・被相続人が誰でも 日本国内・国外のすべての財産が贈与税・相続税の課税対象になります。

次に、日本の贈与税・相続税は、贈与者・被相続人の住所が日本国内か日本国外かによります。

日本に住所がない(アメリカ在住者)贈与者・被相続人は、その期間(10年以内か10年以上か)によって受贈者・相続人の課税対象になる財産が異なります。国籍は関係なく、日本国籍以外の人も納税義務者になります。

日本に住所が10年以上ない(アメリカ在住者)贈与者・被相続人で、受贈者・相続人が10年以下の海外在住者は、日本国内・国外のすべての財産が課税対象になります。受贈者・相続人が10年以上の海外在住者または外国籍は、日本国内の財産のみ課税対象になります。

日本に住所がある又は10年以下のアメリカ在住の贈与者・被相続人は、受贈者・相続人が誰でも 贈与者・被相続人の日本国内・国外のすべての財産が贈与税・相続税の課税対象になります。

ここで、日本国外の財産=アメリカの財産もです。日本に住所がある人と10年以下のアメリカ在住者の贈与者・被相続人は、日本の贈与税・相続税に アメリカの財産も課税の対象になるということです。

たとえば、アメリカに住んでいるアメリカ国籍の子供が、受贈者・相続人となり日本の贈与税・相続税の納税義務者になるわけですね。

また、アメリカ市民権を取得した人は『日本国籍なし』になり、アメリカに住所があるので『日本国内住所なし』になります。贈与者・被相続人も受贈者・相続人も外国籍の場合、通常日本国内の財産のみ課税対象になります。(受贈者・相続人が10年以下の海外在住日本人の場合は、日本国内・国外のすべての財産が課税の対象になります。)

日本の税制改正により平成25年(2013年)4月1日からは 日本国籍以外の人も納税義務対象者になり、平成29年(2017年)4月1日からは 『日本国内に住所がない』場合に適用される 日本国外居住期間が5年から10年以上になりました。

このように課税される財産の範囲がどんどん拡大されていきます。また次回の税制改正でどのようになるのかということですね。

ちなみに今まで書いてきたことは、日本にもアメリカにも相続税・遺産税を納めなくてはいけないほど財産がある人が対象になるということだと思います。

2018年12月12日水曜日

空き家になる親の家と遺言書他

どのように売却した方がいいのか?


宅地の評価を確認する方法は【路線価方式】があります。また、この路線価が定められていない地域には【倍率方式】があります。

詳しく知りたい人は、国税庁の ホームページ へどうぞ。

建物の評価を確認する方法は 固定資産税評価額による評価になるようです。

私の場合、父が20年以上前に他界し その後母が一人で暮らしている家があります。田舎の小さな土地に建っている築40年以上になるその家の価値はほとんどないと思います。母が亡くなったあとは空き家になる家です。

自宅を売却する時、売った時の金額から買った時の金額を引いた金額 すなわちキャピタルゲイン(譲渡益)に譲渡所得として20%の税金がかかります。(所有期間が5年未満の売却の場合、40%の税金になるようです。)

また、10年以上の長期所有期間の場合、特例があり 14%の税金になる場合があるようです。

キャピタルゲインがない場合は、税金がかからないことになり 確定申告も必要ないようです。

自宅を売却する時には いろいろな特例(相続前の売却には3000万円の特別控除・相続後の売却には取得費加算の特例等)もあるし、持ち主が亡くなる前か亡くなった後相続人が売却するか、ということですよね?

相続前の売却には3000万円の特別控除は、平成27年の税制改正で相続後の売却でも使えるようになりましたが、その条件が厳しすぎるようです。

さら地にしないでそのままの状態で売却することもできるようで、その場合は 購入者がその後さら地にするか決めるということですね。

これもメリット・デメリットがあると思います。

さら地にしてから売却する場合、費用も時間もかかります。しかし、そのままの状態で売却する場合、さら地にするためにかかる費用分を差し引かれても、手間はその分かからないということですよね?

遺言書】についての概略。

遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

民法改正により2019年1月13日以降に作成する自筆証書遺言は、遺言書の全文を自書する必要がなくなり、パソコンでの目録や証明書のコピー等も添付可能になるようです。

公正証書遺言・秘密証書遺言は、公証役場のお世話になります。

遺言書があれば、その遺言書の内容で相続手続きが行われます。が、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議により遺言書の内容変更も可能ということのようです。

遺言書があれば、たとえば音信不通または行方不明の相続人がいる場合でも、相続人に指定されていなければ問題ないようです。相続放棄をする予定の人は、その手続きをする必要もなくなると思います。

また、人が亡くなると、金融機関は亡くなったことを知った時にその人名義の口座が凍結してしまうのはみなさん知っていると思います。その凍結を解除するには、いろいろな書類が必要になります。

ちなみにアメリカには、POD(Payable on Death)と制度を利用した場合、口座名義の人が亡くなった時には そのお金はPODで指定された人に複雑な手続きをすることなく渡るというものです。

あと、健康保険の被保険者が亡くなった場合、2年以内に申請すると葬儀費用として【葬祭費(埋葬料)】の給付金が受給できます。

この健康保険とはすべての健康保険が対象になりますが、保険の種類により 問い合わせ先や給付金額(数万円)が異なります。

どんな葬儀にもこの給付金は出るようですが、この申請には実際に葬祭費を支払ったという『領収書』が必要になります。

このように数万円でも申請すればもらえるものってあります。逆に言えば、知らなくて申請しなかったらもらえないものです。

2018年12月11日火曜日

日本の贈与税と相続税の豆知識

知っていて損はない制度や特例


私自身 相続税の心配がないので、今まで知らなくてもいい情報だと思って何も知りませんでしたが、贈与税・相続税は奥が深く 知らないと損をしてしまうこともあるんだなぁと思いました。

そんな知っていて損はない制度や特例を、箇条書きにしてみます。相続税の心配をしている人はもう知っている内容かもしれませんが・・。

贈与は年間110万円まで非課税ですが『3年内加算ルール』がある。

相続税対策で財産を減らしたい人は、配偶者(妻や夫)や彼らの子供たち以外にも贈与することができます。たとえば、子供たちの配偶者や彼らの子供たち(孫)もできるということです。生前贈与は血のつながりがない人もできます。

そう考えると、人によっては年間1000万円以上財産を減らすこともできますよね?

ただ、亡くなる3年以内に贈与されたものは、贈与額が相続財産に加算されます。つまり、贈与がなかったことになるということです。(110万円以上の贈与をして贈与税を納めた場合は、相続税の控除となります。)

この『3年内加算ルール』の対象者は”相続人”です。つまり、相続人ではない子供たちの配偶者や彼らの子供たち(孫)には、このルールは適用されません。(しかし、遺言書により”相続人”になっている場合は対象者になってしまいます。)

✽一代飛ばしの贈与

”相続人”以外である孫に生前贈与で財産を贈与すると、相続税がかかる機会を一代回避することができ 相続税対策になるようです。

小規模宅地の特例

被相続人が自宅として住んでいた土地を相続する際、8割引きの金額で相続できるというものです。1億円だったら2000万円になるということです。

が、条件がいくつかあります。

まず、面積が330㎡(坪数にすると100つb)までです。それを超えた部分は通常の評価額になるようです。

対象者は、被相続人の配偶者と同居親族(彼らの長男等)だけです。別居している他の子供たちはこの特例の対象外になり、8割引きの金額で相続できません。

被相続人に配偶者も同居親族もいない時(被相続人は一人暮らしだった)は、賃貸アパートや賃貸マンションに住んでいる 持家のない親族(被相続人の子供たち等)はこの特例の対象者になり、8割引きの金額で相続できます。持家のある親族(被相続人の子供たち等)は対象外です。

ところでみなさん、贈与税と相続税の税率、税率だけを比べてみると贈与税の税率のほうが高いですよね?

しかし、贈与は何回かに分けてできるものなので、賢く贈与すれば贈与税を納めてでも贈与した方がお得になるようです。

2018年12月10日月曜日

日本の相続時精算課税制度

贈与税がかからない贈与の仕方


以前、日本の親からの相続税対策として、年間非課税額の110万円を毎年贈与し続けることも相続税対策の一つだと書きました。これは、贈与者の財産を減らすことができるので のちの相続税の節税になります。

今回は、相続税を納めなければいけない人(基礎控除額以上の相続)には、デメリットばかりの制度のようですが、相続税を納める必要がない人(基礎控除額以下の相続)には朗報の制度があります。

相続時清算課税制度】と言います。

この制度は、生前贈与してもらう時に2500万円まで 贈与税が非課税になるというものです。

しかし、いざ相続する時(贈与者が亡くなった時)に 遺産額+生前贈与してもらった額=相続額になり相続税が計算されるということです。

結局、非課税になった贈与税があとになって相続税として課税されるわけで、節税ではなく 税金を納めるのが先送りになるという制度ですよね。

読んで字のごとく、相続する時に清算して課税するという制度です。

相続税を納めなければいけない人(基礎控除額以上の相続)には、のちの相続税を減らすことができないので、節税としては意味がないようです。また、非課税枠の110万円も使えなくなるのでしない方がいいようです。

相続税を納める必要がない人(基礎控除額以下の相続)には、遺産額が基礎控除額以下の人から2500万円までの贈与をしてもらう場合、この贈与税も相続税も非課税になるということです。

たとえば、子供が家を購入する際に親が頭金を1000万円贈与したい場合、通常では贈与税がかかります。が、この【相続時精算課税制度】を利用すれば、贈与税が非課税になります。この制度を利用するにあたっては、それなりの手続き(届け出・申告)等必要になると思います。

また いくつか条件・制限があります。

・贈与者が 60歳以上の親又は祖父母から 20歳以上の子又は孫への贈与
・2500万円まで贈与税が非課税
・申告・届け出等手続きの必要がある
・一生のうち 2500万円まで数回に分けて贈与することもできる
    
・110万円の年間非課税枠が使えなくなる
・2500万円以上の贈与には超えた額に対して一律20%の贈与税がかかる。
(相続する時に この納めた贈与税は相続税から控除されます。)

この制度は、相続税を納める必要がない人には、いい制度だと思います。
また、一括で多額の生前贈与をする時には、のちに相続税として納めることになっても、この制度を利用した方がいい場合もあるかもしれませんね。

ちなみに、夫婦間の居住用の不動産贈与には【配偶者控除】という特例がありますが、デメリットの方が多いようです。20年以上の婚姻期間がある夫婦が、2000万円まで贈与税が非課税になるというものです。

相続する時に夫婦間の相続は最低でも1億6000万円までは相続税が非課税になるので、あえて生前贈与する必要がないようです。他にもいろいろ理由はあるようです。

2018年12月8日土曜日

日本の相続税配偶者控除

まず遺産額を知ることから


遺産額とは、プラスの財産からマイナスの財産を引いた額です。
課税遺産総額とは、遺産額から基礎控除額を引いた額です。
(基礎控除額とは、3000万円+600万円Ⅹ法定相続人の数)

相続税の申告期限は、相続発生日から10ヶ月以内です。 

今回は【配偶者の税額軽減】という制度について。

日本にご両親が健在の人については、日本にも配偶者控除として【配偶者の税額軽減】という制度があります。

父(母)が亡くなった時 父(母)の配偶者である母(父)が相続する際の夫婦間の相続には、最低でも1億6000万円まで 相続税が非課税になるというものです。

この制度を利用するには、相続税の申告期限までに相続税申告書の提出が必要になります。すなわち、相続で揉めて相続税の申告期限までにこの相続税申告書を提出しないと、この制度は利用できなくなるようです。

最低でも1億6000万円まで』というのは、1億6000万円か法定相続分のどちらか多い額まで相続しても、配偶者には相続税がかからないということです。

たとえば たとえばですよ、父が4億円の遺産があり母が半分の2億円を相続した場合、その2億円まで非課税になるということです。(この場合、子供たちが半分の2億円を相続)

「じゃあもし、母が父の遺産を全額相続したら、母は相続税を納めなくてもいいんだ!」なんて思いますよね?

その通りですが、その後の私たち子供たちのことを考えてもらえるなら 気を付けてもらわないといけないことがあります

それは、その後 母が亡くなり私たち子供たちが母の遺産(父の遺産も含む)を相続する時、割高な相続税を納めなくてはいけなくなるということです。

特に父がなくなる前から母にも財産があった場合、たとえば母が母の両親から遺産を相続した等、その場合 両親の遺産をまとめて子供たちが相続すると税率が高くなります。

遺産額が増えれば増えるほど相続税率(最低10%から最高55%)は上がります。また、法定相続人の数が子供たちだけになり、その分基礎控除額も少なくなります。

結果、母が非課税になった分以上の相続税を、のちに子供たちが納めるようになるということですよね?

父が亡くなった時の相続税対策として、相続税が非課税になる母に 多めに相続してもらうと、子供たちの相続額がその分減り 一時的に相続税の節税(?)になるかもしれませんが、のちのちのことを考慮して 慎重に考えなければいけませんね。

この制度を利用するか しないか、また利用する場合 どのように利用するかは、両親・親子で相談する必要があると思います。

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2018年12月7日金曜日

日本の親からの相続税対策

基礎控除額以上の相続をする人


これは、日本在住者と同じように、どうしても避けられない親の死には相続税が関わってきます。アメリカ市民権を取得した人も、2013年4月1日から相続人の国籍が問われなくなり 日本の相続税の納税対象者になりました。

私のように50代後半にもなると親も高齢者だと思います。今回は感情論は抜きにしてサラッと話を進めたいと思います。

日本の相続税にも基礎控除額があります

税制改正により2015年1月1日からこの基礎控除額が引き下げられ3000万円+(600万円Ⅹ法定相続人の数)になりました。(それ以前は、5000万円+(1000万円Ⅹ法定相続人の数)でした。)またこれから先の税制改正で、もっと引き下げられるかもしれませんね。

以前は、相続税を納めなければいけない人(基礎控除額以上の遺産を相続する人)は、富裕層のみで そうたくさんいなかったようですが、この基礎控除額が引き下げられたことにより 相続税を納めなければいけない人は富裕層のみではなくなっているようです。

この基礎控除額を計算する時の法定相続人の数ですが、今回は私たちの親についてのみとして、たとえば父が亡くなると父の配偶者である母と子供の私(たち)が法定相続人になります。両親に3人子供がいたら計4人ということです。
この例だと、3000万円+(600万円Ⅹ4人)=4800万円が基礎控除額。

その後 母が亡くなったら子供の私(たち)が法定相続人になり、計3人。

この法定相続人の数は、相続するしないに関わらず 相続できる権利のある人の数です。なので、相続放棄した人も数に入るということです。

ちなみにこの場合(遺言書がない場合)、法定相続分は父の配偶者である母(50%)と子供の私たち(50%)の半分ずつとなります。

では、この基礎控除額以上相続額がある場合の相続税対策は、何ができるかということですよね?もうご両親(親)はされているかと思いますが、

生命保険に非課税枠内で加入する。

(500万円Ⅹ法定相続人の数)が非課税限度額なので、たとえば法定相続人が4人の場合2000万円まで非課税になります。
80歳代でも入ることができる生命保険はあるようです。

非課税枠内で贈与する。

年間非課税枠の110万円を毎年贈与し続ける。
毎年その都度 簡単な贈与契約書を念のため作った方がいいようです。間違っても「これから毎年110万円を○○に10年間贈与する。」なんていう贈与契約書は作らないようにしたほうがいいようです。これだと、一括の贈与としての扱いになり 贈与税を納めなくてはならなくなるかもしれません。

この基礎控除額以下を相続する場合は、何もする必要がありません。また、相続税は自己申告なので、この基礎控除額に近い人は税理士等に相談する必要があると思います。

私自身 基礎控除額以下の相続になるので、日本の相続税を納めることにはなりません。

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日本の相続放棄の手続き

2018年8月10日金曜日

日本の相続放棄の手続き

海外在住者の日本の相続放棄に必要なもの


諸事情により、相続を放棄する人もいると思います。
被相続人から生前贈与を受けていた人や、遺産を分散させたくない人など、いろいろ相続放棄の理由はあるようです。

海外在住者も、もちろん相続放棄はできます。
相続放棄をすると、被相続人のすべての財産を相続せず、初めから相続人ではなかったとみなされます。

相続には資産も債務も含まれるということで、相続放棄の手続きをする人もいます。

被相続人(亡くなった人)に多額の借金があった場合、その借金を相続しなくてすむように相続人には相続放棄をすることができる権利があります。

また、被相続人が誰かの連帯保証人になっていた場合も、相続放棄をすることによって、保証人の責任を引き継がなくてすみます。

自分が相続人であることを知った日から、3ヶ月以内にこの手続きをしなければいけません。何もしないでそのままにしていると、被相続人の借金を相続することになります。

相続放棄に必要な書類

・相続放棄申述書 (申述書は家庭裁判所HPからダウンロード可)
・被相続人の住民票の除票
・被相続人の戸籍謄本
・申立人の戸籍謄本
・申立人の在留証明書(住民票がなく日本に住所がないため)
・裁判所によってサイン署名を求めるところもあるようです。

相続放棄の手続きの流れ

1、相続放棄申述書を家庭裁判所に提出。
2、裁判所から[相続放棄照会書(質問書)]が郵送されるので回答し返信。
3、裁判所から『相続放棄申述書受理通知書』が郵送されてくる。

『相続放棄申述受理通知書』は、相続放棄が受理されたことを申立人に通知する書面で、一度しか発行されません。
また、必要に応じて『相続放棄受理証明書』は、請求すれば何枚でも発行、郵送してもらうことができます。

債務者から相続放棄の証明書の提出を求められたら、『相続放棄申述受理通知書』のコピーを渡すのが一般的のようですが、もし証明書の原本を求められたら『相続放棄申述受理証明書』を発行してもらい渡すようになります。

海外在住ということで、この家庭裁判所との郵送でのやり取りの対応が、各家庭裁判所の判断によるようなので、申立てをする前に管轄の家庭裁判所に確認する必要があります。
日本国内での通常の手続きより時間がかかります。

また、気をつけなければいけないことは、自分が相続放棄したことで、次の相続順位となる新たな相続人が出てくるということです。

相続権の移動があります。第1位順位→第2位順位→第3位順位。

:私の兄が多額の借金を残して亡くなりました。

第1位順位である 彼(兄)の妻と彼らの子供は相続放棄の手続きをしました。
その後相続権が第2位順位である 兄の両親に移動したので、今度は彼らが相続放棄の手続きをしました。
その後相続権が第3位順位である兄の兄弟姉妹に移動したので、今度は彼(兄)の妹である私と弟が相続放棄の手続きをしました。

このように、それぞれが順番に相続放棄の手続きをすることになります。最後の法定相続人の相続範囲は兄弟姉妹までです。

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日本の相続税について

2018年8月9日木曜日

日本の相続税について

日本の相続税、基礎控除額等について


前回さんざん日本の相続税やアメリカの遺産税についてブログにしましたが、その対象になる人は、日本の相続税の基礎控除額以上の財産を相続する人だけです。

ちなみに、2015,2016年に相続税を納税した人の割合は、わずか8%程度だそうです。
ほとんどの相続で相続税がかかっていないことになります。

相続税とは、この基礎控除額を超えた財産の金額に対してかかる税金です。基礎控除額以上の財産を相続する場合、相続税を納めなければいけません。

言い換えれば、財産がこの基礎控除額以内の場合、相続税は一切かかりません。税務署に申告する必要もありません。
相続財産の50%以上は不動産だと言われています。

2015年1月1日から 税制改正でこの基礎控除額が引き下げられ、3000万円+(600万円x法定相続人の数)になりました。(それ以前は、5000万円+(1000万円x法定相続人の数)でした。)
たとえば、相続人が3人の場合、3000万円+(600万円x3人)=4800万円が基礎控除額になります。

相続税は、相続人の数が多ければ多いほど 少なくなるということになります。

基礎控除額を計算する時の法定相続人の数とは、実際に財産を相続するかしないかは関係なく、相続できる権利のある人の数です。相続放棄をした人も数に入るということです。

また、非課税財産とは、生命保険額と死亡退職金です。

それぞれ同じ非課税限度額があり、500万円x法定相続人の数が限度額になります。この限度額以内なら非課税、超えた分は課税財産となります。
例:法定相続人が4人の場合、500万円x4人=2000万円です。

子供や親がいない人が亡くなった場合、相続人は配偶者と兄弟姉妹になります。その 兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その甥や姪になります。

日本の場合 相続税は、相続開始から10ヶ月以内に申告・納税をしなければいけません。

相続税の税金対策として、年間非課税枠の110万円以内を 毎年贈与し続けるということもできます。非課税枠なら税務署に申告の義務もありません。

相続手続きをするために、日本にそう何度も帰国できない人には、『委任』という制度があります。日本の弁護士に委任すれば、一度も帰国することなく済むそうです。

アメリカの遺産税については、

[非居住外国人]の遺産税の基礎控除額は、$60,000です。
しかし、[非居住外国人]でも日本国籍の親の場合、【日米相続税条約第4条】の特例が認められていて 条件はありますが 控除額が増えるようです。

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2018年8月8日水曜日

日本の相続はアメリカでも課税になるのか?

日本の相続は、基本日本でのみ課税対象


今回は、アメリカ市民権取得者・永住権保持者が、日本にいる日本国籍の親が亡くなった時にかかる相続税について、一般常識程度に調べてみました。

日本では、みなさんご存じのとおり、遺産を相続する人に相続税がかかり 納税義務があります。

まず、日本の相続税は、相続した遺産が日本国内・国外どこにあろうが相続税の対象になり 日本の相続税が課せられます。また、相続人は国籍・居住国に関係なく、日本の相続税の納税義務対象者になります。

つまり、私たち日本国外居住者も対象者です。
2013年4月1日よりアメリカ市民権取得者(非日本国籍者)も、日本国内外の全財産に対する相続税の納税義務対象者になりました。

遺産が日本国内だけにあり それだけを相続した場合、日本だけに相続税を納税する義務があるということです。
多くの人は、この日本だけに相続税を納税するに当てはまると思います。

アメリカ居住者(私たち)が、アメリカ国外居住者(日本に住んでいる親)から贈与・相続されたアメリカ国外財産には、アメリカの贈与税・遺産税の対象外になり課税されません

しかし、日本での贈与額・相続額が$100,000以上の場合、贈与・相続した内容と金額を IRSに報告する義務があります。

これは、報告する義務があるだけで、アメリカの贈与税・遺産税対象外なので 課税はされません

Form 3520 【Annual Return to Report Transactions with Foreign Trusts and Receipt of Certain Foreign Gifts】この報告書を提出します。

この報告を怠る または 遅延すると、ペナルティが課せられます。

この報告期限は、所得税申告時と同じ期限(4月15日)ですが、提出先は所得税申告先とは異なり ユタ州のOgden IRA Service Center に別途提出します。多くの人は間違って、所得税申告時に添付して提出してしまうようです。

アメリカでは、日本とは違い遺産を残す人に遺産税がかかりますが、実際には 残された遺産を相続する人が遺産税を納税することになります。

もし、日本にいる親がアメリカ国内にも資産を残して亡くなった場合、日本の親は アメリカ側からすると[非居住外国人]になり、遺産を相続するアメリカ居住者のアメリカ市民権取得者・永住権保持者には、アメリカの遺産税がかかります

たとえば、ハワイに不動産を所有していた親が亡くなった場合とかです。

この場合、アメリカで遺産税対象となるのは、アメリカ国内にある遺産のみ。
また[非居住外国人]名義のアメリカ銀行預金や生命保険金等は、非課税扱いになります。

ということは、日本とアメリカの両国で相続税・遺産税がかかるものもあるということになりますよね。
でも、[非居住外国人]で日本国籍を持っている親の場合は、その二重課税の回避のために【外国税額控除】というものを適用することができます。

親の遺産が日本国内だけにある場合、日本だけに相続税をかかり、アメリカでの遺産税はかかりません

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